この1年ほどの間に、「地方青年」が力強い動きをみせ、中国の消費の中核的なホットワードになった。この三線・四線都市、県の中心地、農村に暮らす巨大な層はその強大な購買力によって、今や消費の新たな中心だ。収入が増加し交通・物流などインフラの整備が進むのにともなって、「地方青年」を中心とする三線・四線都市以下の市場から旺盛な消費のエネルギーが発せられている。新華社が伝えた。
ショッピングカートがこれまでの局面を動かした。筆者の調査研究によると、各地で消費促進の政策・措置が踏み込んで実施されるのにともない、中国国民は、とりわけ農村の人々は強大な消費力を形成し、内需を拡大し、成長の予想を安定させる新たな注目ポイントになった。
「地方青年」が旺盛な購買力を発揮
今年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)では、95後(1995年から1999年生まれ)と「シルバー族」が新消費の3大中心層とされた。ソーシャルECの拼多多のバックグラウンドのデータによると、11月11日午前、長安汽車、五菱宏光、観致汽車などの自動車メーカー5社がイベントで売り出した「国民車種」は完売し、買い手の多くは三線・四線都市以下の市場の消費者だったという。
安徽省宣城市旌徳県廟首鎮東山村には、特別な「村の花」がある。
同村で代理購入ビジネスを手掛ける崔雲さんはさわやかな笑顔で、「この『花』は姿かたちの美しいフラワーの『花』ではなく、お金を使う(花銭)という時の『花』だ。私は村民のためにネットでの買い物を手伝い、毎月少なくとも1万元(1元は約15.4円)くらいは使っている」と述べた。
崔さんは2014年に隣人がワンピースを買うのを手伝ったことをきっかけに、全村民のために代理購入するサイドビジネスを始めた。小さなものでは石鹸から、大きなものでは家電や家具まで、崔さんはネット通販プラットフォームで毎年数十万元を使う。先月は農村市場の消費力代表として、浙江省杭州市の阿里巴巴(アリババ)西渓園に招かれ、天猫(Tmall)の「ダブル11」グローバルカーニバルに参加した。
商務部(省)の高峰報道官は、「同部のモニタリングでは、今年の『ダブル11』期間に新たに増えたネットユーザーのうち約70%が三線・四線都市、県の中心地、郷鎮をはじめとする新興市場のユーザーだった。二線・三線・四線都市や小都市の青年の観光商品に対するニーズは明らかに一線都市のユーザーを上回る」と述べた。
アリババ集団の張勇最高経営責任者(CEO)は、「三線・四線都市以下の市場へ加速的に浸透することが、今やアリババの中核であるEC事業の成長を引っ張る重要なエンジンになりつつある」と述べた。
「こだわりなし」から「妥協なし」へ 消費が持続的に質向上・規模拡大
ホットサンドメーカー、「エアイージー」スニーカー、スマートスピーカー……黒竜江省斉斉哈爾市に住む90後(1990年代生まれ)の女性教員・岳媛さんは携帯を手にして、今年上半期に淘宝(タオバオ)でした買い物のリストを見せてくれた。
「今は条件も整って、たくさんの若い人が自分の能力の範囲内で『ニッチで素晴らしい』生活を追求するようになった。ぜいたくであるとは限らないが、一定の品質は必ず満たしている。今は自分の買い物では実用性だけでなく、『幸福感』を与えてくれるかどうかも考えるようになった」という。
蘇寧のビッグデータでは、今年第1-3四半期には、三線・四線都市以下の市場にある蘇寧小売クラウド店で、デジタルカメラの販売量が前年同期比1500%増加し、レーザーテレビと食洗器も同70%以上増加し、ミキサーは同439.4%増加、3ドア以上の冷蔵庫は同363.1%増加だった。
価格「9.9元」の特売品への熱中から高いコストパフォーマンスの追求へ、「こだわらない」から「妥協しない」へ、「地方青年」のショッピングカートを見ると消費の高度化が十分にうかがえる。
深セン市富輝鴻電子科技有限公司はスマート掃除ロボットに特化した企業だ。同公司EC部門責任者の魏濤さんは、「昨年から拼多多と提携して、三線・四線都市以下の市場の消費のポテンシャルに狙いを定めている」と述べた。
魏さんは続けて、「当社の消費者の70%が二線以下の都市と県の中心地に住んでおり、彼らは製品のスマートレベルに特に注目し、たとえばWiFiにつなげるかとか、自動充電の機能があるかなどをチェックする。三線・四線都市以下の市場が求めているのは価格の安さだけではなく、何らかの体験ができたり何かを享受できたりする製品だ。こうした市場のニーズに合わせ、今年初めに消費者がけん引する形で製造したV2型「千元高配」(低価格ハイスペック)掃除ロボットは、11月末までに拼多多プラットフォームで22万台を売り上げた」と述べた。
農村の消費者のショッピングカートにみられる変化について、崔さんは最も「発言権」があるだろう。「今の村民は商品を選ぶだけでなく、ブランドを選ぶようになった。みんな、『ブランドものなら品質は確かだし、使い勝手もいい』と言っている」という。
三線・四線都市以下の市場に徐々に浸透しているのは商品だけではない。サービスも徐々に浸透している。今年第3四半期には、蘇寧の地方エリアカスタマーセンター・蘇寧幇客県鎮サービスセンターのサービス依頼受注件数が前月比145%増加し、このうち家電クリーニング・メンテナンス、家電修理サービスが最も人気があり、クリーニング・メンテは同341%増加、修理は同73%増加した。
「地方青年」のショッピングカートの背後にみえるのは、中国の広大な三線・四線都市以下の市場に湧き上がる無限の活力だ。正確に的を絞って不足点のカバーに力を入れ、供給を革新し最適化すれば、こうした市場の消費のポテンシャルがより一層発揮され、中国の消費に新たな注目点をもたらし、中国経済に新たな原動力を蓄積することになる。